- ビットコインは $90,000(2026 年 3 月 9 日)。1 月の $108K ピークから -17% 調整中
- 米国戦略的 BTC 準備金:政府保有 20 万 BTC(約 $180 億)。売却禁止法制化が価格の「床」を作っている
- スポット ETF 12 本:合計 AUM $850 億。機関投資家の需要が供給を吸収し続けている
- オンチェーン:長期保有者が過去最高、取引所の BTC 残高が過去最低。サプライショック構造が形成中
- シナリオ:強気 $150K(ETF 需要拡大 + 準備金拡大)vs 弱気 $60K(マクロ悪化 + 規制リスク)
Section 1 — 2026 年 3 月のビットコイン:現在地の確認
2026 年 3 月のビットコインは「調整局面」にある。1 月に記録した $108,000 のオールタイムハイから 17% 下落した $90,000 だが、2025 年初($45,000 前後)からは倍以上の水準を維持している。
なぜ $90K で止まっているのか
この「調整の底」として機能しているのが、米国政府の 戦略的ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve) の存在だ。2025 年に成立した法律により、米国政府は保有する 20 万 BTC を「少なくとも 20 年間売却しない」と法制化した。これが市場に「米国政府は $X 以下では BTC を手放さない」という強力なシグナルを送り、機関投資家の心理的な底値サポートとして機能している。
Section 2 — 米国戦略的ビットコイン準備金:詳細分析
背景:2024 年の大統領選でのビットコイン推進政策の公約が実現し、2025 年に米国政府は戦略的 BTC 準備金を設立した。
米国戦略的 BTC 準備金の詳細:
保有量:~200,000 BTC
取得コスト(加重平均):$60,000〜$70,000
現在の未実現利益:$36〜60 億
法的根拠:Strategic Bitcoin Reserve Act(2025年成立)
管理機関:財務省(Treasury Department)
売却禁止期間:最低 20 年
2026年の追加購入計画:
→ 年間 $50〜100 億分の追加取得をFY2026〜2030 予算に計上
→ 財源:没収資産の売却収益、一部の金準備の再評価
12 カ国以上が「準備金」議論
米国の行動が前例となり、他国政府も BTC 保有を検討し始めた。
2026年3月時点での状況:
→ エルサルバドル:法定通貨として継続。2,800 BTC 保有
→ アラブ首長国連邦:政府ファンドが BTC 取得を開始
→ 日本:自民党内で準備金研究チームが発足(未決定)
→ スイス:カントン(州)レベルでの BTC 保有議論
→ 欧州:ほとんどの国が否定的(ECB の強い反対)
米国政府の 20 万 BTC(全供給量 2,100 万枚の約 1%)が市場から永久に除去された。さらに他国政府が買い始めれば、供給はさらに減少する。「需要は増え、供給は減る」という構造が、現在の強気論の核心だ。
Section 3 — スポット ETF:機関投資家のアクセス革命
2024 年 1 月に承認されたスポット BTC ETF は、1 年余りで $850 億の AUM を集めた。これは金 ETF(GLD)が最初の 2 年で集めた資産の 6 倍以上のペースだ。
| ETF | 運用会社 | AUM | 日次平均出来高 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| IBIT | BlackRock | $380 億 | $12 億 | 最大。機関向け最大手 |
| FBTC | Fidelity | $185 億 | $8 億 | Fidelity 顧客基盤が強み |
| BITB | Bitwise | $65 億 | $3 億 | 暗号資産特化の信頼性 |
| ARKB | ARK / 21Shares | $42 億 | $2 億 | Wood の長期ビジョン |
| GBTC | Grayscale | $130 億 | $5 億 | 信託から ETF 転換。高い手数料 |
| その他 7 本 | 各社 | $48 億 | - | 競争激化 |
2026 年の ETF トレンド:
- 年金・機関資金の流入加速:フィデリティが報告した 2025 年 Q4 データによると、年金ファンドからの FBTC への資金流入が前年比 +240%
- オプション取引の解禁:IBIT などの BTC ETF オプションが本格化。機関投資家のリスク管理ツールとして機能
- 他資産との組み合わせ:60/40 ポートフォリオに 2〜5% の BTC ETF を加える「Bitcoin 配分」が標準化されつつある
Section 4 — オンチェーン分析:サプライショックの証拠
オンチェーンデータは「ビットコインが本当に稀少になっている」ことを示している。
長期保有者(LTH)の動態
LTH(1 年以上保有)が保有する BTC は現在 1,500 万枚を超え、過去最高を更新している。これは「売らない文化」が定着していることを示す。
LTH 保有率の推移:
2021年(ATH時):60%
2023年(弱気市場):70%
2025年(ハルビング後):71%
2026年3月(現在):72%
→ 強気相場でも LTH が「売らない」傾向が強まっている
取引所 BTC 残高の急減
Coinbase、Binance、Kraken などの主要取引所の BTC 残高は過去 2 年で -45% 減少した。取引所残高の低下は「売る準備ができている BTC」の減少を意味する。供給の逼迫だ。
取引所 BTC 残高推移:
2024年1月:2,800,000 BTC
2025年1月:2,200,000 BTC
2026年3月:1,540,000 BTC(過去最低)
→ 2年で 130 万 BTC が「プライベートウォレット」へ移動
→ ETF + 戦略的準備金 + LTH の3重供給吸収が機能している
BTC を取引所に置いておかず、コールドウォレットやハードウェアウォレットに移す動きが加速している。これは「売るつもりがない」という強いシグナルだ。ETF 需要(毎日 $3〜5 億の新規購入)に対して、取引所の「売り手」が減少し続けている。この需給の非対称性が $90K を「底」として機能させている要因だ。
Section 5 — ハルビング後の供給構造
2024 年 4 月に実施された第 4 回ハルビングで、マイナーへのブロック報酬が 6.25 BTC から 3.125 BTC に半減した。
ハルビング後の新規供給量(2026年):
→ 1日あたりの新規発行:~450 BTC($4,050万/日 @$90K)
→ 1ヶ月あたり:~13,500 BTC
スポット ETF の月次純流入(2026年平均):~$15〜20 億
→ 月 16,000〜22,000 BTC に相当
つまり:ETF だけで新規供給量の 120〜160% を吸収している
(米国政府の追加購入 + 他機関投資家は別途)
この需給の非対称性が「供給ショック」の実態だ。ETF が毎日買っている量が、新規採掘量を超えている。
Section 6 — $150K vs $60K:シナリオ分析
シナリオ A:$150,000(強気、確率 35%)
条件:
→ BlackRock IBIT が AUM $1,000 億を突破(追加需要 $150 億)
→ 米国政府が FY2027 予算で追加 50,000 BTC 購入を承認
→ 2〜3 カ国の主権富裕ファンドが BTC 購入を正式発表
→ マクロ:FRBが利下げ加速(BTC にリスクオン資金流入)
到達タイムライン:2026年H2〜2027年初
シナリオ B:$90,000 維持(基準、確率 40%)
条件:
→ ETF 需要が現在のペースを維持
→ マクロ不確実性が続くが、重大なリスクオフは発生しない
→ 取引所残高の低下トレンドが継続
→ LTH が売らない状況が維持される
範囲:$80,000〜$100,000
シナリオ C:$60,000(弱気、確率 25%)
条件:
→ 米国マクロ悪化(リセッション)→ リスクオフで BTC 売り
→ ETF からの資金流出(2022年の GBTC のような連鎖)
→ 米国以外の主要国が BTC 規制を強化
→ マイナーによる大規模売却(電力コスト上昇で採算悪化)
到達タイムライン:2026年末まで
Section 7 — 投資戦略:BTC $90K での判断
現在の BTC ポジション判断:
DCA(定期積み立て)継続:★★★★★
→ 毎月一定額を買い続けるのが最もリスク管理された方法
→ $90K が底かどうかは誰にもわからない。時間分散が最善
スポット BTC ETF 利用:★★★★☆
→ 証券口座から IBIT・FBTC でのアクセスが最もシンプル
→ 自己管理(コールドウォレット)より手軽だが手数料 0.25%
レバレッジ取引:★☆☆☆☆
→ 戦略的準備金が底値をサポートしているとはいえ、
$90K → $60K の -33% は十分あり得る。レバレッジは禁物
長期保有戦略:★★★★★
→ LTH(1年以上保有)の正当性はオンチェーンデータが支持
戦略的準備金と ETF 需要が底値をサポートしているとはいえ、$90K から $60K への -33% の下落は歴史的に珍しくない。BTC は 2022 年に $70K から $16K まで -77% 暴落した過去がある。ポジションサイズは「最悪 -50%〜60% になっても耐えられる金額」に限定することが鉄則だ。
2026 年後半の注目カタリスト
| カタリスト | 強気への影響 | 弱気への影響 |
|---|---|---|
| 米国 FY2027 予算での BTC 追加購入 | 大(+$200〜500 億の需要) | — |
| 他国主権ファンドの BTC 保有開示 | 大(心理的影響) | — |
| 米国 SEC による新規 ETF 承認 | 中(アクセス拡大) | — |
| 米国マクロ悪化(リセッション懸念) | — | 大(リスクオフ売り) |
| ETF 大規模資金流出 | — | 大(需給逆転) |
| マイナー大規模売却 | — | 中(供給圧力) |
ビットコインの $90K は「適正価格圏」だと判断する。米国戦略的準備金(売らない 20 万 BTC)、12 本の ETF($850 億 AUM で毎日買い続ける)、LTH による72% の供給封じ込め——この三重の構造的需給がサポートとして機能している。$150K への到達は需要拡大(政府買い増し、追加 ETF 承認)が条件であり、可能性はあるが確実ではない。DCA で積み立て、決してレバレッジを使わない。長期(3〜5 年)の視点では、現在の価格は合理的なエントリーポイントだ。
本記事は投資アドバイスではありません。Data as of March 2026.
— iBuidl Research Team